内定取り消しは自由にできる?経営者が知っておきたい法的リスク
はじめに
採用活動を進める中で、
- 「思ったより能力が低そうだ」
- 「業績が悪くなったので採用をやめたい」
と考えることがあるかもしれません。
しかし「まだ入社していないから自由に断れる」と考えるのは危険です。
内定は単なる予約ではなく、法律上は労働契約が成立していると扱われることが多く、安易な取り消しは無効となる場合があります。
内定取り消しが認められるケース
内定取り消しが認められるのは、
- 経歴や資格の重大な詐称
- 卒業できなかった
- 重大な犯罪行為の発覚
- 採用時に分からなかった重要な健康上の問題
など、限られた場合です。
内定取り消しが認められるケース

一方で、
- 能力が低そう
- 社風に合わない
- 業績が悪化した
といった理由だけでは、取り消しが認められないことも少なくありません。
実際の裁判例
東京地裁平成16年6月23日判決(オプトエレクトロニクス事件)では、会社が行った中途採用者の内定取り消しが違法と判断されました。
中途採用者の内定取り消し

この事案では、会社は内定者の能力等に問題があると主張しましたが、裁判所は、内定後に新たに判明した重大な事情は認められないとして、内定取り消しを無効と判断しました。
その結果、会社は約208万円の給与相当額に加え、慰謝料100万円の支払いを命じられています。
会社から見ると、
「採用していない相手に300万円を超える支払いを命じられた」
事案といえます。
さらに実際には、
- 自社の弁護士費用
- 担当者の対応時間
- 訴訟対応の負担
も発生するため、実質的な損失はさらに大きくなることがあります。
採用前の確認が重要
こうしたリスクを防ぐためには、採用前の確認が重要です。
例えば、
- 履歴書や職務経歴書の確認
- 資格の確認
- 業務内容や条件の十分な説明
などを丁寧に行いましょう。
採用前の確認と業務内容の十分な説明

また、試用期間を設けることも有効ですが「試用期間中なら自由に解雇できる」というわけではありません。
まとめ
内定は会社が自由に撤回できるものではありません。
実際に、内定取り消しが無効とされ、会社が300万円を超える支払いを命じられた裁判例もあります。
採用活動では「採るかどうか」だけでなく「取り消さなくても済む採用をすること」が重要です。
内定取り消しを検討する場合には、実行前に専門家へ相談することをおすすめします。
無料ウェビナーのご案内
TMG法律事務所は、中小規模の企業で起こりやすい問題やその対処、回避方法を的確にお伝えするセミナーを開催しています。
まずは無料セミナーにご参加ください。中長期的に、経営者・管理職のあなたを力強く支える弁護士がここにいます。