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配転命令は自由にできる?経営者が知っておくべき注意ポイント

はじめに

人手不足への対応や組織改編、事業拡大などに伴い、従業員の配置転換(配転)を行う企業は少なくありません。
しかし「人事権は会社にあるのだから、異動を命じれば従業員は従うべきだ」と考えるのは危険です。
企業には一定の配転命令権があり、解雇権よりは広く認められますが、無制限ではありません。
配転の内容や目的によっては無効となる場合もあります。

今回は、経営者が知っておくべき配転命令の基本と注意点を解説します。

配転命令とは

配転命令とは、従業員の勤務地や担当業務を変更する人事命令をいいます。
例えば、

  • 営業部から総務部への異動
  • 大阪支店から東京支店への転勤
  • 現場業務から管理業務への変更

などが典型例です。
企業活動を円滑に行うため、人員配置を見直す必要があることから、裁判所も企業の配転命令権そのものは広く認めています。
(日本は解雇規制が強い分、配転が認められやすいと言われてきました。)
もっとも、その権限には一定の限界があります。

配転命令は担当業務を変更する人事命令

配転命令が無効になる場合

配転命令に関する考え方を示したのは東亜ペイント事件最高裁判決です。
この判例では、

  • 業務上の必要性があること
  • 不当な動機や目的がないこと
  • 従業員に著しい不利益を与えないこと

が、有効性を判断する重要な要素とされています。
例えば、

  • 退職に追い込むための異動
  • 嫌がらせ目的の異動
  • 社内で孤立させるための異動

などは権利濫用として無効となる可能性があります。

従業員の事情への配慮も必要

近年は、育児や介護との両立への配慮も重視されています。
例えば、

  • 親の介護を担っている
  • 小さな子どもを養育している
  • 持病の治療を継続している

といった事情がある場合、遠隔地への転勤による不利益が大きくなることがあります。もちろん、こうした事情があれば必ず転勤できないというわけではありません。
しかし、会社側が全く事情を確認せずに異動を命じた場合、後に紛争となった際に不利に働く可能性があります。

従業員への配慮と限定契約に注意

職種限定・勤務地限定契約に注意

特に注意したいのが、採用時に職種や勤務地を限定しているケースです。
例えば、

  • 大阪勤務限定で採用した
  • 経理職として採用した
  • 地域限定社員として雇用した

といった場合です。
このような合意があるにもかかわらず、一方的に他地域への転勤や別職種への異動を命じると、配転命令自体が無効となる可能性があります。
かつては、企業には配転について広い裁量が認められていましたが、近年は、最高裁でこのような職種限定に関する判断が示され、一定のブレーキがかかる結果になることが多く、注目が集まっています。

求人票、労働条件通知書、採用時の説明内容などが後に重要な証拠となることもあります。

実務上のポイント

配転命令を行う際には、後から説明できるよう準備しておくことが重要です。
具体的には、

  • なぜ異動が必要なのか
  • なぜその従業員を選んだのか
  • 他の方法では対応できなかったのか

を整理しておきましょう。
また、本人との面談を実施し、

  • 家庭事情
  • 健康状態
  • 育児や介護の状況

などを確認しておくことも有効です。
結果として会社の判断を維持する場合でも「事情を聞いたうえで検討した」という事実は後の紛争で重要な意味を持ちます。
面談記録や社内検討資料を残しておくことも忘れてはいけません。

配転命令を拒否されたら

異動を命じても、従業員が納得せず拒否することがあります。
しかし、直ちに懲戒処分や解雇を検討するのは危険です。
まずは、

  • 配転命令が有効か
  • 説明は十分だったか
  • 本人の事情に配慮したか

を再確認する必要があります。
配転命令そのものが無効と判断されれば、その後の懲戒処分まで無効になる可能性があるためです。

まとめ

配転命令は企業運営に欠かせない人事権の一つですが、自由に行使できるわけではありません。
業務上の必要性があり、不当な目的がなく、従業員に過大な不利益を与えないことが重要です。

配転命令の基礎まとめ

また、職種限定や勤務地限定の有無、育児・介護などの個別事情にも配慮する必要があります。
配転を巡る紛争では「なぜその異動が必要だったのか」を会社が説明できるかが重要になります。
異動を検討する際には理由や経緯を記録し、迷う場合には早めに専門家へ相談することをおすすめします。

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