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「労働契約書」と「労働条件通知書」の決定的な違いと会社を守る防衛策

  • 「スタッフを採用するとき、契約書と通知書、どっちを出せばいいの?」
  • 条件を細かく書面に残すと、かえって会社が縛られて不利になる?」

従業員を迎え入れる際、中小企業経営者がこのように頭を悩ませ、あるいは誤解をしたまま手続きを進めています。
会社を守るために本当に必要なのは、書類の名称選びではなく、それぞれがもつ特徴的な欠点を理解し、いざというときに言い逃れされるのを封じる工夫です。

これらを理解しないまま運用を続けると、万が一トラブルが起きた際、会社側は極めて不利な戦いを強いられることになります。
また「細かく書くと不利になる」という思い込みこそが、実は最大の労務リスクを招く引き金となります。

本記事では、弁護士の視点から、2つの書類が抱えるリアルな盲点を徹底解剖。その上で、経営者の実務負担を激減させつつ「言った・言わない」のトラブルをシャットアウトする実務のコツをわかりやすく解説します。

署名漏れと言い逃れ|「労働契約書」と「労働条件通知書」が抱える2つの盲点

労働条件通知書は、会社が従業員に(一方的に)労働条件を告げる書類。
労働契約書は、会社と従業員の合意の証拠。
これらは、双方にメリット・デメリット(欠点)が存在します。

労働契約書の欠点:承諾と署名のハードル

条件交渉にこだわる労働者がいる場合、細かい文言の調整や承諾をもらうのに苦労することがあります。
また、担当者の怠慢、ミスにより、労働契約書に「署名・捺印」してもらっていない場合、裁判等で会社側の主張が著しく弱くなるリスクがあります。

労働条件通知書の欠点:「聞いていない」のリスク

労働条件通知書は、会社からの通知事項であるため、一挙一律に多数の従業員に労働条件を説明するのに適しています。
しかし、合意・受領の証拠がないと、あとで労働者から「そんな書類は受け取っていない」と条件を突っぱねられるリスクがあります。
なお、賃下げや勤務日数の減少など「労働条件の引き下げ」を伴う場合は、通知書だけでは法的に足りず、少なくとも個別の合意(契約)が必要とされています。

「言った・言わない」を防止!実務負担を激減させる受領確認のコツ

私が推奨するのは「労働条件通知書に受領サインをもらう」、あるいは「メールに添付して送信し承諾の応答(返信)をもらう」という手法です。
これにより、契約書のように文言交渉で揉めるのを防ぎつつ「うちはこの条件でやってますので」と毅然と説明でき、かつ「受け取っていない」という言い逃れも封じることができます。

【経営者の誤解】条件明示は会社に不利?就業規則との矛盾が招く本当の労務リスク

労働条件通知書はなぜ重要なのか

経営者から「労働条件を細かく書面で明示すると、会社が縛られて不利になるのでは?」という質問をよく受けます。

しかし「条件を書くことによって不当に不利になること」は、通常ありません。
なぜなら、一般的に労働条件通知書に書かれる内容(残業代や有給など)はもともと労働基準法で最低基準が決まっていることだからです。(就業規則のある会社は、就業規則に合わせて記載しましょう。)

これに対し、退職金や賞与基準などは法律に定められた制度ではありません。そのため、実施未定であるにもかかわらず「賞与制度あり」などとうっかり書いてしまうと、会社側が不利になることがあるので気を付けてください。
労働条件については、形式(書面)と実態(現場の運用)がずれていることや、就業規則との間に矛盾(労働時間、賃金締め日、有給取得、割増賃金率など)があると大きなリスクになります。

会社を守るためにも、実態に即した正しい明示を行いましょう。

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