パワハラにならない問題社員の指導方法!遅刻・ルール違反の対処マニュアル
「部下を注意したいが、パワハラと言われるのが怖い」
「遅刻癖が治らない社員にどう接すればいいかわからない」
「成績は優秀だが、社内ルールを無視する社員に手を焼いている」
そんな悩みを抱える経営者・人事担当者・管理職の皆さま、こんにちは。
弁護士の吉田浩司です。大阪で中小企業の法務を20年にわたりサポートしてきました。
弁護士というと「難しい専門用語を使われそう」「相談のハードルが高い」といったイメージを持たれがちですが、私は皆さまが気軽に相談できる「安心のパートナー」として、現場のリアルな課題解決に寄り添うことを信条としています。
昨今、コンプライアンス意識の高まりとともに「問題社員への適切な対応」は多くの企業にとって悩みの種です。しかし、腫れ物のように扱って指導を放置したり、感情的に叱責したりすれば、さらなるトラブルに発展しかねません。
そこで本記事では、法的リスクを回避しながら、毅然と対応するための「パワハラにならない実践的な指導テクニック」を解説します。
この記事を読む3つのメリット
- 遅刻やルール違反への「正しい注意の仕方と手順」が具体的にわかる
- パワハラと言われないための「NG対応」と「OKフレーズ」が学べる
- 万が一の労務トラブルから会社を守る「指導記録の残し方」が身につく
事実や会社のルールに基づき、自信を持ってマネジメントを行うためのノウハウを分かりやすくまとめました。明日からの業務指導にぜひお役立てください。
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1. 解雇はハイリスク?「正しい業務指導」が企業と管理職を守る理由
現在の日本の法制度では、労働者の解雇には非常に厳しい制限がかけられています。労働契約法における「解雇権濫用法理」により、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が認められない解雇は無効となります。
解雇を巡る現状

つまり、よほどの非違行為などがない限り、会社側からの一方的な解雇は認められにくいのが現状です。
そのため、問題行動のある社員に対していきなり解雇を言い渡すのは非常にリスクが高く、手痛いしっぺ返しを食らう可能性があります。
だからこそ、解雇は最終手段と考え、まずは繰り返し指示や指導を行うことが重要です。
それでも改善の余地がない場合に初めて、配置転換や退職勧奨、そして最終的に解雇を検討するというプロセスを踏む必要があります。
適切な教育と改善の機会を与えたという実績を残すためにも、日々の業務指導は欠かせません。
2. 【事例解説】遅刻を繰り返す社員への適切な注意・指導ステップ
では、具体的なケースを見ていきましょう。
遅刻を繰り返す社員に対するNG指導例

【状況】 若手事務職のXさんは、今月すでに4回遅刻をしており、今日も定時から10分遅れて出社しました。
NGな指導例
- 他の社員の面前(朝礼など)で叱責する。
- 「やる気あるの?」
- 「この仕事向いてないんじゃないか」
- 「前の会社もすぐ辞めたんだよね」など、
今回の遅刻とは無関係な過去の職歴を持ち出したり、人格を否定するような発言をする。
- 「気合いが足りない」といった先入観で一方的に責める。
- 「次遅刻したらどうなるかわからないよ」と、
曖昧な処分をほのめかして不安を煽る、しかし具体的な改善指示はしない。
- 「次遅刻したらどうなるかわからないよ」と、
適切な指導例
- 個別の面談(別室)で穏やかに対応する
- まずは会議室に呼び出し「今日を含めて今月5回の遅刻になる、認識は合っていますか」と事実確認から入ります。
- 具体的な影響を伝える
- 「朝は注文処理が集中するため、事務の方がいないと営業にも影響が出る」など、
なぜ時間通りに来てほしいのかを客観的かつ具体的に説明します。
- 「朝は注文処理が集中するため、事務の方がいないと営業にも影響が出る」など、
- 明確な目標と対策を促す
- 「電車が遅れるなら、それを想定して通勤してほしい」
- 「来月は遅刻ゼロを目標にしてほしい」など、
具体的な行動変容を求めます。
- 体調への配慮とフォロー
- 体調不良や睡眠障害が疑われる場合は、
- 「体調面で不安があれば人事に相談することもできる」
と気遣いを示しつつ - 「可能なかぎり早めに連絡してほしい」と伝えます。
- 指導内容を記録に残す
- 面談後「来月からは遅刻ゼロを目指して頑張ってください」といった内容を
個別の社内メッセージ等で送信し、指導の記録を残します。(※共用のメッセージボードに書くのはNGです)
- 面談後「来月からは遅刻ゼロを目指して頑張ってください」といった内容を
遅刻を繰り返す社員に対する改善された指導のポイント

3. 【事例解説】成績優秀でもルール違反する社員への対処法とNG対応
続いては、少し難易度の高いケースです。
ルール違反を繰り返す社員に対するNG指導例

【状況】 中途入社2年目で営業成績トップのYさん。しかし、商品の値引きや見積書提出において、上司の事前承認を得るというルールを守らず、事後報告を繰り返しています。
NGな指導例
- 主導権を奪われる
- 「結果出てるからいいじゃないですか」
- 「営業はスピードが大事」
というYさんの反論に引きずり込まれ、会話の主導権を奪われてしまう。
- 指導理由を明確に説明できない
- ルールを守るべき理由を曖昧にしか説明できず
「・・・今回は仕方ないかな」と迎合してしまう。
- ルールを守るべき理由を曖昧にしか説明できず
- ルール順守を譲歩してしまう
- 「大きい値引きの時だけ相談して」とルールを曖昧に譲歩してしまう。
一人のルール違反(権限外の値引きなど)を黙認すると、違反行動がエスカレートしたり、
他の社員にも「自分もやっていいんだ」という悪影響(いわゆる「割れ窓理論」)を及ぼしたりする危険性があります。
そのため、たとえ成績良好の社員であっても、ルール違反は毅然と正す必要があります。
適切な指導例
- 結果とプロセスを切り離す
- 「受注できたことは評価しています」と結果は認めつつ
- 「今回は営業の進め方について確認します」と
自分の土俵に話を引き戻します。
- 理由を端的に伝え、隙を与えない
- 「なぜ事前承認が必要なのか」と問われたら
- 「利益管理と取引条件の統一のためです」などと
迷いなく端的に答えます。(ここで制度の是非に立ち入った議論はしない)
- 代替案を出しつつ、ルールは死守する
- 「忙しくて相談している暇がない」という反論に対しては
- 「急ぎの場合は電話やチャットでも良いので、必ず承認を取ってください」と少し譲歩しつつ、絶対的なルール(値引きは例外なく事前承認)は守らせます。
- 最終的な確約を取る
- 「今後は必ず事前承認を取り、見積提出前に内容を共有してください」と明確に伝え、
相手から「分かりました」という返事を引き出します。
- 「今後は必ず事前承認を取り、見積提出前に内容を共有してください」と明確に伝え、
ルール違反を繰り返す社員に対する改善された指導のポイント

4. 【保存版】パワハラと言わせない!業務指導の鉄則と記録の残し方
業務指示・業務指導・業務改善命令の勘所

業務指導を行う際は、以下の点に気を配ってみてください。
- 人格を非難するのではなく、行動の改善を促す
- 怒りや感情をぶつけるのではなく、事実に基づき「どのような影響が出ているか」を伝える
- 抽象的に否定するのではなく、具体的な改善案を示す
- ダラダラと指導を続けるのではなく、短く要件を伝え、期限を設定する
- 言いっぱなしにするのではなく、相手の言い分も聞き、気にかけているという配慮の姿勢を示す
- 指導した内容は記録(メッセージなど)として残しておく
最初は難しく感じるかもしれませんが、こうした指導を心がけて記録を残していくことは、結果として会社を守り、ひいては従業員を守ることにもつながります。
もし「この社員の対応には本当に困っている」「自分一人では抱えきれない」と悩まれた際は、どうぞ一人で抱え込まずにご相談ください。
法律の専門家として、皆さまが安心して事業に専念できるようサポートさせていただきます。
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