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【2026年改正】下請法が「取引適正化法」へ。中小企業・担当者が知るべき変更点と対策を弁護士が解説

みなさん、こんにちは。弁護士の吉田浩司です。

今回は、経営者や法務・購買担当者のみなさんにとって、今後数年で最もインパクトの大きい法改正、2026年施行予定の「取引適正化法(旧:下請法)」について解説します。

「法律の話は難しそう…」と身構える必要はありません。私は常々、弁護士=敷居が高いというイメージを払拭し、法律をビジネスを守るための「防具」として活用してほしいと願っています。
まずは、忙しい方のために今回の改正の要点を3つにまとめました。

【30秒でわかる!2026年・下請法改正の要点】

  • 名称変更: 「下請法」から「取引適正化法」へ。名前だけでなく中身も厳格化。
  • 対象拡大: 荷主による配送委託(特定運送委託)も追加。企業規模については、資本金だけでなく「従業員規模」も規制対象に。
  • 協議対応: 下請けからのコスト増に伴う価格転嫁(値上げ)の協議に対し、誠実に応じないと違法になる可能性。

これまで「ウチは下請法なんて関係ない」と思っていた企業でも、知らないうちに加害者(違反者)になり、社名公表や制裁を受けるリスクが高まっています。
この記事では、条文を羅列するのではなく「現場の実務で何が変わり、どこに注意すべきか」を弁護士の視点でわかりやすくお伝えします。

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さて、今回のテーマは、経営者や法務・購買担当者のみなさんにとって非常に重要な「下請法(取引適正化法)の改正」についてです。

下請法(取引適正化法)とは?

2026年から法律の名前が変わり、規制の対象も大きく広がります。「ウチは関係ない」と思っていると、知らないうちに法律違反になってしまうかもしれません。

今回は、法律の条文を並べるのではなく「現場で何が変わるのか」「どこに注意すべきか」を、実務に即してわかりやすく解説します。

なぜ今「取引適正化法」へ?価格転嫁と賃上げを目指す法改正の背景

長年親しまれてきた「下請法」が、なぜ今「取引適正化法」へと変わるのでしょうか。
背景にあるのは、昨今の原材料・エネルギー価格の高騰と、国が進める賃上げの流れです。
コストが上がっているのに、弱い立場の中小企業が価格転嫁(値上げ)を言い出せない。この状況を打破し、適正に利益が回り、多くの労働者に対する賃上げが達成できる環境を作るため、行政は監視の目を強めています。

公正取引委員会や中小企業庁も、今まで以上に本気で摘発に動いています。「中小企業いじめ」と認定されれば、社名公表や社会的制裁を受けるリスクがあります。
これは大企業だけの話ではありません。中小企業であっても、発注側(親事業者)になれば加害者になりうるのです。

2026年施行「取引適正化法」3つの変更点|物流・従業員要件に注意

今回の改正で押さえておくべきポイントは大きく3つです。

1. 名称の変更と対象の拡大

名称が「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」から「取引適正化法」に変わります。また、規制対象となる取引に「特定運送委託」が追加されました。
これまで対象外だった「荷主(製造業者や小売)が運送会社に配送(納品)を依頼するケース」なども規制の対象になります。物流業界の「2024年問題」ともリンクする重要な変更です。

2. 「従業員規模」基準の導入(ここが重要!)

これまでの下請法は「資本金」で企業の大小を判断していました。
しかし、実態は大企業なのに資本金を低く抑えて規制を逃れるケース(資本金1000万円以下の合同会社など)に対応するため、新たに「従業員数」の基準が設けられます。

従業員が300人または100人を超える場合(委託の種類に応じて)

資本金が小さくても、上記の従業員数を超える企業は「委託事業者(親事業者)」として規制を受ける対象になります。

3. 禁止行為の追加

新たな禁止事項として、以下の点が強化されます。

  • 手形払いの原則禁止(60日以内の現金払いが基本に)
  • 協議を経ない一方的な代金決定の禁止

特に「値上げ交渉」への対応が厳格化されます。「忙しいから」と協議を拒否したり、資料の提示や根拠も伝えずに据え置き価格を押し付けたりすると、違法と認定される危険があります。

企業規模の基準

自社は対象?資本金・従業員数・取引内容でわかる「適用チェック」

取引適正化法は「①取引の内容」と「②企業規模(資本金・従業員)」の両方が条件を満たしたときに適用されます。

規制される4つの取引+新設1

  • 製造委託(規格・仕様を指定してモノを作らせる)
  • 修理委託(物品の修理を頼む)
  • 情報成果物作成委託(ソフト・コンテンツ制作、デザインなど)
  • 役務提供委託(運送、ビルメン、データ入力などのサービス)
  • 【新設】特定運送委託(自社商品を顧客へ届ける配送依頼など)

注意!

既製品をただ仕入れて売る「売買」には、基本的に適用されません。ただし、そこに「運送」の依頼が含まれる場合、新設された「特定運送委託」に該当する可能性があります。

企業規模のチェック

ご自身の会社の資本金が1,000万円以下であれば、基本的には「親事業者」としての規制は受けません。
しかし、1,000万円を超えている場合、あるいは従業員が100人を超える場合は要注意です。取引相手が自社より小規模であれば、規制の網にかかる可能性があります。

違反リスクを回避する発注側の「4つの義務」と「禁止事項」徹底解説

もし、自社が規制対象(委託事業者)になった場合、以下の義務が発生します。

4つの義務

  • 書面の交付義務(発注内容を明確にする。メールや電子契約でもOK)
  • 書類の作成・保存義務(2年間保存・データ可)
  • 支払期日の決定義務(受領から60日以内に設定)
  • 遅延利息の支払義務(遅れると年率14.6%の利息発生)

実務のアドバイス

受領日の「月末締め・翌月25日払い」なら安心ですが、支払サイトが長くなると60日を超えるリスクがあります。また、「検査」に時間がかかっても「受領日」から60日カウントは止まりませんのでご注意ください。

やってはいけない!主な禁止事項

うっかりやってしまいがちなのが以下の行為です。

  • 受領拒否・返品(相手にミスがないのに受け取らない、返す)
  • 下請代金の減額(発注後に「端数切ってよ」と値切るなど)
  • 買いたたき(通常より著しく低い単価を一方的に決める)
  • 不当な給付内容の変更・やり直し(タダで何度も修正させる)
  • 【新設】協議に応じない一方的な代金決定(コスト増に伴う値上げ要請を無視する)

協議に応じない一方的な代金決定とは?

特にクリエイティブ業界やIT業界では、増加費用を曖昧にしたまま、仕様変更や修正(リテイク)が指示されがちですが、これも「やり直し」として規制対象になることがあります。

契約書・発注書の見直しを|担当者が施行までに準備すべき具体的なアクション

2026年の施行に向けて、今から準備できることがあります。

自社の規模を確認する

資本金だけでなく、従業員数もチェック

継続的な取引先との契約を見直す

基本契約書はあるか?支払サイトは60日以内か?相手の資本金・従業員は?(Webサイトなどで確認)

発注書(注文書)を整備する

納期、金額、支払条件が明記されているか

現場へのヒアリング

「後から値引き」や「仕様変更指示」「値上げの一律拒否」が常態化していないか確認

法律は「守らなければならないルール」であると同時に、下請けの立場であれば「不当な要求から自社を守る盾」にもなります。
資本金1000万円以下の企業であっても、自社への理不尽な対応、値上げ拒否に対し、親会社に「これって違法じゃないですか?」と正しく交渉するための知識として、ぜひ活用してください。

下請法(取引適正化法)改正のまとめ

さいごに:法律を「自社を守る武器」に。不安な点は弁護士へ無料相談を

法律の条文は複雑で、自社が該当するのか判断に迷うことも多いと思います。
「契約書のこの書き方は大丈夫?」「取引先から無理難題を言われている」など、少しでも不安なことがあれば、いつでもご相談ください。
私の事務所では、初回30分の無料相談を行っています。

「弁護士に頼むほどでは……」と思わず、ビジネスの良き相談相手として、ぜひお気軽にお声がけくださいね。
今後もnoteやX(旧Twitter)で、中小企業のみなさんに役立つ法律知識を、わかりやすく発信していきます。

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