【労務】遅刻・欠勤を繰り返す社員への正しい指導法|パワハラと言われない5ステップ
「また遅刻か…」
「注意したいけれど『圧迫的だ』とパワハラ扱いされるのが怖い…」
遅刻や直前欠勤を繰り返す部下への対応に、頭を悩ませていませんか?
感情的に叱責すればパワハラと指摘されるリスクがある一方、放置すればチーム全体の士気が低下する悪循環に陥ります。
かといっていきなり「解雇」や「出勤停止処分」をとることは、法的に極めて大きなコストとリスクを伴います。
本記事では、労務・不当解雇リスクを徹底的に回避しながら、部下の行動改善を促す「正しい勤怠指導の5ステップ」を解説します。
明日から面談でそのまま使える会話スクリプトも掲載していますので、ぜひ参考にしてください。
1. 即解雇が絶対NGな理由|解雇権濫用法理と不当解雇の法的リスク
遅刻が何度かあるからといって、すぐに解雇することは法的に不可能です。
解雇を巡る現状

解雇権濫用法理(労働契約法第16条)
解雇は「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が必要です。少々の勤怠不良や能力不足程度では解雇は無効と判断されます。
不当解雇のリスクとコスト
解雇が無効となった場合、給与1〜6ヶ月分の解決金支払いだけでなく、解雇期間中のバックペイ(賃金支払い)を行ったうえで、その労働者は会社に戻ってきます(雇用継続の義務)。
指導の正当なステップ
管理職は、感情にとらわれた言動で従業員を叱責するのではなく、将来を見据えて適切な指導歴を重ねていく必要があります。
そのためにふさわしいステップは以下の通りです。
① 業務指示・改善指導→② 配置転換 / 退職勧奨→③ 解雇(最終手段)
以下、指導の失敗パターンとあるべき形を事例形式で見ていきましょう。
2. 【事例解析】パワハラと判定されるNG指導5選|見せしめ・人格否定の失敗パターン
事例状況
営業事務のXさんは今月すでに4回遅刻しており、今日も9時10分に出社。
営業部長のAさんは、朝礼中に全体の前で指摘し、会議室へ呼び出した。
朝礼の場で叱責し会議室へ呼び出し

NG指導のハイライト

検討ポイント

現場で発生した5つのミス
面前での叱責(見せしめ行為)
朝礼など他の社員がいる場所での大声の叱責は、パワハラと判定される典型例です。
人格否定の発言
「やる気あるの?」「この仕事向いてないんじゃない?」など、行動ではなく人格を非難している。
無関係な過去の引き出し
「前の会社もすぐ辞めたよね」と、今回の遅刻とは関係ない職歴を持ち出す。
事実確認の欠如
なぜ遅刻したのか、状況の整理や理由のヒアリングを行っていない。
具体的指示のない感情的脅し
「次遅刻したらこんなもんじゃ済まないよ」と曖昧な処分を示して不安を与える。
3. 【完全版】法的リスクをゼロにする「正しい勤怠指導」5ステップと面談スクリプト
A部長が対応を見直し、個室で冷静に向き合った場合のトーク例です。
会議室で冷静に事実を確認し改善目標を設定

適切な指導の会話ハイライト

改善された指導のポイント

ステップ①:個室(会議室)で1対1の環境を作る
解説:プライバシーに配慮し、周囲の目を遮断した個室で実施します。
ステップ②:感情論ではなく「客観的事実」から切り出す
上司:「今月、今日を含めて遅刻が5回あります。この認識は合っていますか?」
ステップ③:業務への客観的な「影響」を伝える
(電車の遅延を遅刻の理由にしがちな部下に対し)
上司:「電車がたびたび遅れるなら、それを見越して通勤してもらう必要があります。遅刻や当日欠勤が続くと、営業のサポート業務に支障が出ます」
ステップ④:具体的な改善目標を設定する
上司:「来月は『遅刻ゼロ』を目標にしてもらえますか?」
ステップ⑤:体調・環境面への配慮を一言添える
上司:「もし体調面などで継続的な不安があれば、人事に相談することもできます」
4. 管理職のための実務リスク管理|「パワハラ主張」を予防する面談記録の残し方
どれだけ適切な指導を行っても、部下から「圧迫感があった」「無理な目標だ」とパワハラを主張されるリスクはゼロにはできません。
実務上の注意点とリスク管理

指導を恐れない
パワハラと言われることを恐れて必要な指導をためらうことこそ、組織にとって最大の問題です。
「体調への配慮」を記録に残す
指導の場(または指導書)で「体調に不安があれば相談に乗る」と言及しておくことで、後から「病気だったのに会社が配慮してくれなかった」と主張される法的リスクを防ぎます。
まとめ|事実に基づく客観的指導で勤怠トラブルと法的リスクを防ぐ
勤怠指導の鉄則は「感情ではなく事実を語り、人格ではなく行動の改善を求めること」です。
正しいステップを踏み、毅然とした態度で臨みましょう。
遅刻や欠勤を繰り返す社員にお悩みの方はお気軽にご相談ください。TMG法律事務所では、お困りの内容に応じて解決策をご案内しています。
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