企業SNSの著作権トラブルと炎上リスク!広報が知るべき3つの事例
「自社のSNS投稿、気付かないうちに著作権違反になっていませんか?」
こんにちは。大阪で20年弁護士をしている、TMG法律事務所の代表弁護士・吉田浩司です。
企業の広報やSNS運用において「悪気はなかった」「他社もやっているから」では済まされないのが著作権トラブルや炎上リスクです。
しかし「弁護士に相談するのはハードルが高い」「法律は難しくてよくわからない」と悩む経営者や担当者の方は少なくありません。
そこで本記事では、中小企業が直面しやすい「SNS運用の落とし穴」について、現場ですぐに役立つ実践的な視点から解説します。難しい法律用語は極力控え、現場でよくある「3つのNG事例(切り抜き動画、AIイラスト、退職者の権利)」を交えながら分かりやすくお話ししていきます。
✅ オンラインで無料法務セミナーを開催中です。
【事例1:無断転載】役員のSNS「映画の切り抜き」が招く企業の致命的リスク
よくあるケース
映画好きの役員が、自身のSNSアカウントで映画の感想を投稿する際、ワンシーンを切り抜いたスクリーンショットや動画の一部を添付している。将来的に企業の公式アカウントでも同じような投稿をしたいと言っている。
役員SNS著作権問題

刑事罰や損害賠償も。企業が負う「3つの深刻な法的リスク」
このような投稿を企業が容認、あるいは公式で行ってしまうと、以下のような大きなリスクが生じます。
法的リスク
映画の画像、動画の無断使用は、著作権者から刑事告訴されたり、民事上の差し止めや損害賠償を請求されたりする可能性があります。
無断の複製や頒布には、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金という重いペナルティが予定されています。
炎上・レピュテーションリスク
著作権者から直接訴えられなくても、SNS上で「この会社の投稿は違法ではないか」と拡散され、炎上するケースが非常に多いです。
二次的被害
炎上によって会社の評判が下がると、採用活動で応募者が辞退したり、取引先から今後の取引を見直されたりするなど、長期にわたるダメージを受けます。
企業アカウントに「私的利用」「引用」の言い訳は通用しない
著作権の例外

著作権法には「私的利用」や「引用」という規定があり、無断複製をしても違法にならない例外が認められています。
しかし、「私的利用」は家庭内などごく限られた範囲での利用に限られます。不特定多数に向けて発信するSNSや、企業としての利用には適用されません。
また「引用」についても、企業が広報・広告目的で行う場合は要件を満たすのが難しく、認められにくいのが現実です。
映画やテレビ番組の動画は、脚本家、撮影者、編集者、作曲家など、多くの方の権利が重なり合っているため、どこから権利侵害の指摘が入るのかが把握しにくい構造になっています。無断利用は非常に危険です。
企業の公式アカウントで、第三者の映像やキャラクターを無断で使用することは絶対にやめましょう。
【事例2:AI生成物】画像生成AIの「パクリ疑惑」から企業ブランドを守る方法
よくあるケース
広報担当者が画像生成AIを使い、スタッフの集合写真を人気アニメ風のイラストに変換して公式SNSにアップした。
面白いと好意的な反応があった反面「パクリではないか」「違法な加工では?」といった批判も寄せられ、賛否両論の炎上状態になってしまった。
AIイラストパクリ疑惑

「似ている=即違法」ではない?商標権侵害を防ぐ3つのチェックポイント
著作権で保護されるのは「表現」であり「アイデア(画風やテイスト)」自体は保護されません。裁判例を見ても、構図やキャラクターの雰囲気が似ていても、直ちに著作権侵害とは判断されないケースが多くあります。
テイストを似せる程度であれば、違法にならないことも多いのです。
しかし、注意すべきポイントが3つあります。
炎上リスクは残る
違法でなくても、多くの「パクリだ」とのマイナス評価が集まれば、会社のイメージダウンにつながります。
業種によっては、あえて注目を集めるために賛否両論のある方法で宣伝する企業もあります。しかし、一般的な企業であれば、顧客層や関係者にマイナスの印象を与えないか、慎重に判断する必要があります。
「AIがやったから」は通用しない
プロンプト(指示語)で意図的に既存の作品に寄せたり、結果として極めて似てしまった画像を使用した場合、あとで著作権者からの指摘に対し、「コンピューターが勝手にやった」という言い訳は法的に通用しません。
別の権利を侵害する恐れ
企業名、ブランドロゴ、特徴的なキャラクターのマークなどをそのまま反映させてしまうと、「商標権」や「意匠権」の侵害、あるいは「不正競争防止法」違反に問われる可能性があります。
まとめると、AI画像は、その危険性を理解したうえで画像を生成活用できるスキルのある担当者が行う必要があります。
その手間やリスクを考えると、商用利用が可能なフリー素材サイト(たとえば「いらすとや」など)の規約を守って活用する方が、手軽で安全な場合も多いでしょう。
【事例3:退職トラブル】「私が作った動画を削除して」元社員からの要求への正しい対処法
よくあるケース
とある企業にて、動画編集の経験がある社員に、紹介動画の制作を任せて自社サイトに掲載した。
しかし、その社員が退職する際「私が作った動画だから著作権は私にある。削除してほしい」「自分が映っている映像をずっと使われるのは嫌だ」と言い出した。
退職社員の動画著作権問題

会社の指示による制作物は「職務著作」として権利を主張できる
業務の一環として社員が作成したコンテンツの権利はどうなるのでしょうか?以下の要件を満たせば「職務著作」として、著作権は社員個人ではなく「会社」に帰属します。
- 会社の発意(指示)に基づいて制作されたこと。
- 法人の業務に従事する者が職務上作成したものであること。
- 会社名義で公表されていること。
これらを満たしていれば、退職時に削除を求められても「会社の著作物なので削除しません」と断ることができます。
逆に、業務時間外に趣味で作ったものを会社が使わせてもらっているような場合は、権利主張が難しくなります。
後々のトラブルを防ぐ「肖像権」への配慮と必須の事前準備
著作権とは別に、社員の顔が映っている場合の「肖像権」には注意が必要です。集合写真に小さく映り込んでいる程度なら問題になりにくいですが、インタビュー動画や案内役としてメインで映っている場合、明確な承諾がないと退職後に揉める原因になります。
対策
コンテンツを制作する際、あるいは入社時に「会社の広報物として写真や動画を使用すること」「退職後も異議を述べないこと」について、誓約書などで一筆取って承諾を得ておくことが何よりの自衛策です。
【まとめ】SNS炎上を防ぐ自社基準の作り方と、顧問弁護士の活用法
SNSやWebは特に中小企業にとっては、認知を広げ、販売促進のため強力なツールになります。現代は必須ともいえるツールですが、一歩間違えれば長期的なダメージを負う刃にもなります。
- 他者のコンテンツ(動画・映画など)の無断転載・切り抜きは原則アウト。
- AI生成物は補助ツールと考え、既存作品に酷似させない(ロゴ等の使用にも注意)。
- 社員作成のコンテンツは「職務著作」の要件を満たすよう管理する。
- 社員が映るコンテンツは、肖像権への配慮として事前に承諾を得ておく。
対処別|権利侵害の判断の難しさ

上記のとおり、画像、音楽、文章などコンテンツ別にどの程度権利侵害の判断がしやすいのかをおおまかに表にまとめているので参考にしてください。
「これは明らかにダメだ」という基準は自社内で持ちつつも、判断が難しいグレーゾーンについては、ぜひ専門家に相談してください。
「ちょっと聞きたいだけなんだけど…」というご相談でも大歓迎です。
料金体系も事前にお伝えし、ご納得いただいた上でサポートいたしますので、どうぞお気軽にお声がけください。
無料ウェビナーのご案内
TMG法律事務所は、中小規模の企業で起こりやすい問題やその対処、回避方法を的確にお伝えするセミナーを開催しています。
まずは無料セミナーにご参加ください。中長期的に、経営者・管理職のあなたを力強く支える弁護士がここにいます。