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社員のSNS悪口で懲戒解雇は可能か?弁護士が教える「3つの判断基準」と「実務対応」

「うちの社員が、SNSで会社の悪口を書いている…」

もしこのような投稿を見つけてしまったら、経営者として怒りや裏切りを感じ、感情的に「今すぐ辞めさせたい(懲戒解雇したい)!」と考えてしまうのも無理はありません。

しかし、少し待ってください。 その一時的な感情で「解雇」を言い渡してしまうと、逆に会社側が「不当解雇」で訴えられ、多額の慰謝料を請求されるリスクがあることをご存知でしょうか?

「悪口を書かれた被害者」であるはずの会社が、法的な手続きを誤ったばかりに「加害者」扱いされてしまうケースは、残念ながら後を絶ちません。

本記事では、企業法務の最前線で多くの労務トラブルを解決してきたTMG法律事務所が、「SNSの悪口で懲戒解雇は認められるのか?」という法的な判断基準と、会社を守るための「正しい実務対応フロー」を、専門用語を使わずに分かりやすく解説します。

さて、企業の経営者様や人事労務ご担当者様から、最近特によくご相談いただくテーマの一つに、従業員のSNS利用に関するトラブルがあります。

もし、あなたの会社の社員が、SNSで会社の悪口を書いていたら…?

経営者としては、感情的になって「今すぐ辞めさせたい!」と思ってしまうかもしれません。

しかし、その判断、本当に大丈夫でしょうか。

今回は、「SNSで会社の悪口を書いた社員を懲戒解雇できるか?」という、多くの経営者が直面しうる問題について、法的なリスクと注意点を分かりやすく解説していきます。

【結論】「感情的な解雇」は絶対NG。不当解雇リスクを避けるための法的視点

いきなり結論から申し上げますが、単なる「会社の不満」や「上司への愚痴」といったレベルの悪口をSNSに書かれたからといって、いきなり「懲戒解雇」という最も重い処分を下すことは、法的に非常に難しいと言わざるを得ません。

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なぜ「SNSの悪口」だけで即解雇できないのか?「解雇権濫用法理」の壁

なぜなら、労働契約法には「解雇権濫用法理」という考え方があるからです。

懲戒解雇は、従業員の将来にも重大な影響を与える極めて重い処分です。そのため、その理由が客観的に合理的であり、社会通念上「相当である」と認められなければなりません。

相当といえるためには、解雇以外のあらゆる対策を講じても改善が望めず、雇用を続けることはできないと第三者の目線で納得させるだけの事情が必要です。

単なる不満や愚痴レベルの投稿に対して、いきなり解雇という処分を下すのは、行き過ぎと判断される可能性が高いです。
このような事案では、後から従業員に「不当解雇だ」として訴えられると、その解雇は「権利の濫用」として無効と判断される可能性が非常に高いのです。

もし感情的な判断で解雇に踏み切り、後からそれが無効と判断されれば、解雇期間中の給与の支払いや慰謝料など、多額の金銭を請求されることにもなりかねません。これは企業にとって重大な経営リスクとなります。

そこで重要になるのが「その投稿が、会社にどれだけの実害を与えたか」という客観的な視点です。

懲戒解雇が認められる3つの境界線:名誉毀損・機密漏洩・実害発生

では、どのような場合であれば、懲戒解雇という重い処分が認められる可能性があるのでしょうか。

ポイントは大きく分けて3つあります。

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解雇が認められる3つのポイント

1. 会社の社会的評価を「著しく」低下させた場合

単なる「うちの会社ブラックだわ」といった抽象的な愚痴ではなく、具体的な(あるいは虚偽の)事実を挙げて、「〇〇(商品名)は違法な材料を使っている」「〇〇部長は取引先からリベートを受け取っている」などと名指しで誹謗中傷し、会社の信用やブランドイメージを著しく傷つけた場合です。

2. 会社の「機密情報」を漏洩させた場合

これは非常に深刻です。まだ公表していない開発中の製品情報、顧客リスト、社外秘の経営情報などをSNSに投稿してしまった場合。これは就業規則の守秘義務違反にも明確に該当し、懲戒処分の対象となり得ます。

3. 事業運営に「具体的な損害」を与えた場合

そのSNS投稿が直接的な引き金となって「重要顧客との取引が停止になった」「投稿を見た従業員が不安になり大量に退職してしまった」など、事業の運営に明確かつ重大な損害が発生した場合です。

これらのケースに当てはまる可能性があっても、すぐに解雇を決定してはいけません。

大切なのは、その後の「手順」です。

【実務マニュアル】不適切投稿発覚時の初動対応フロー:証拠保全から処分まで

もし社員による問題のある投稿を発見したら、感情的にならず、以下のステップで冷静に対応することを強くお勧めします。

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SNSで悪口を書いた後の対応フロー

ステップ1:事実確認と証拠保全

まずは、本当にその従業員が投稿したのか、投稿内容は具体的にどのようなものか、いつ投稿されたのか、といった「事実」を客観的に確認します。

この時、投稿が削除されてしまう前に、スクリーンショットを撮るなどして「証拠保全」を必ず行ってください。

ステップ2:弁明の機会と段階的な処分

事実確認ができたら、本人を呼び出し、なぜそのような投稿をしたのか「弁明の機会」を与えます。

その上で、懲戒解雇という最も重い処分を検討する前に、まずは「けん責(始末書の提出)」「減給」といった、行為に見合った段階的な処分から検討するのが原則です。

いきなり解雇という「死刑判決」を下すのではなく、まずはイエローカード(けん責や減給)を提示し、反省と改善の機会を与える、というプロセスが非常に重要なのです。

まとめ:会社を守るための「正しい手順」と「客観的証拠」

懲戒処分、特に解雇を検討する際は「正しい手順」と「客観的な証拠」が命です。

経営者としての感情は一旦抑え、法的なリスクを最小限にするためにも、問題が発覚した初期段階で、ぜひ私たちのような労務問題に詳しい専門家にご相談ください。

「こんなこと相談してもいいのかな?」と迷う必要はありません。早めにご相談いただくことが、結果として会社を守る一番の近道になります。

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