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もう悩まない!問題社員対応の基礎法制度から退職勧奨まで、事例で学ぶ実践的解決


【弁護士が徹底解説】問題社員対応、安易な「解雇」は命取り。円満退職に導く『退職勧奨』の正しい進め方

「何度注意してもミスが減らない…」
「協調性がなく、チームの和を乱している…」
「正直、辞めてもらいたい…でも、どうすれば…」

企業の経営者や管理職の皆さんなら、一度はこんな「問題社員」への対応に頭を悩ませたことがあるのではないでしょうか。

こんにちは、TMG法律事務所の代表弁護士、吉田浩司です。

弁護士というと、「難しい」「怖い」「料金がわからない」なんてイメージを持たれがちですが、私はその真逆でいたい。気軽に相談できて、経営者の皆さんに安心を届けられる弁護士でありたいと常に考えています。

さて、冒頭のようなお悩みを抱えたとき、「いっそのこと解雇してしまおうか」という考えが頭をよぎるかもしれません。しかし、その判断は非常に危険です。

今回のウェビナーでは、なぜ安易な解雇が命取りになるのか、そして、解雇という最終手段に至る前に、企業が取るべき最善の策は何か、特に円満解決の切り札となる『退職勧奨』について、具体的な事例を交えながら分かりやすく解説していきます。

なぜ、安易な「解雇」は絶対にやってはいけないのか?

まず、大前提として知っておいていただきたいのは、日本の法律では、会社が従業員を解雇するためのハードルは、皆さんが想像している以上に高いということです。

知らないと怖い「解雇権濫用法理」というルール

法律には「解雇権濫用法理」(かいこけんらんようほうり)という、長年の裁判で確立されてきた重要なルールがあります。

労働契約法 第16条
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

…と、法律の条文は少し難しいですね。

簡単に言うと「よっぽど正当な理由がない限り、会社の一方的な都合での解雇は無効ですよ」ということです。

「能力不足」や「多少の勤怠態度の不良」といった理由だけでは、この「よっぽど正当な理由」とは認められません。解雇が有効になるのは、多額の横領や業務に関する犯罪、2週間以上にわたる完全な無断欠勤など、極めて限定的なケースなのです。

つまり、原則と例外が逆転していて「解雇は原則無効。例外的に有効になる場合がある」と考えるのが実態に近いのです。

解雇が紛争になった場合の甚大なコストとリスク

もし、会社が行った解雇が「無効」だと判断された場合、企業は計り知れないダメージを受けます。

  • 高額な弁護士費用と解決金: 紛争になれば、まず弁護士費用がかかります。さらに、和解のために給与の数ヶ月分、場合によっては半年分以上の解決金を支払うケースも少なくありません。
  • 恐怖の「バックペイ」: これが最も恐ろしいリスクです。もし裁判で解雇が無効になった場合、解雇してから判決が出るまでの期間(1年〜2年かかることもザラです)、その従業員が働いていなかったとしても、会社は遡って全額給与を支払わなければなりません。 これを「バックペイ」と呼びます。月給25万円の社員なら、2年間で600万円にもなります。
  • 時間と精神的な負担: 裁判や交渉の対応に、経営者や担当者の貴重な時間と労力が奪われます。
  • 職場の雰囲気悪化: 解雇が無効となれば、その従業員は会社に戻ってきます。一度は争った相手と、また同じ職場で働くことの気まずさや、他の社員への影響は計り知れません。

このように、安易な解雇はまさに「命取り」。企業にとって百害あって一利なしなのです。

解雇は最後の手段!その前に経営者がやるべき3つのステップ

では、どうすればいいのか。解雇という劇薬に手を出す前に、企業が段階的に踏むべきことがあります。

STEP1:指導・教育と「記録」の徹底

まずは、問題行動に対して具体的に業務指示を出し、改善を促すことが基本です。

  • ミスが多い社員には: 何がどう間違っているのか、どうすれば改善できるのかを丁寧に教え、その内容を業務日報に本人に書かせるなどして記録に残す。
  • 報告・連絡・相談ができない社員には: 定期的なミーティングを設け、進捗確認を徹底する。

ここでのポイントは2つ。

  • 「辞めさせるため」ではなく「活躍してもらうため」という姿勢で臨むこと。
  • 指導した内容、日時、相手の反応などを必ず「記録」として残すこと。

この「記録」は、万が一、次のステップに進むことになった際に、「会社としてやるべきことはきちんとやった」という客観的な証拠になり、未来のあなたを救うことになります。

STEP2:配置転換(配転)の検討

指導しても改善が見られない場合、部署や担当業務を変える「配置転換」も有効な手段です。

上司との相性が悪い、今の業務が本人の適性に合っていない、という可能性もあります。環境を変えることで、パフォーマンスが向上するケースは少なくありません。

日本の裁判所は解雇には厳しい一方で、社内での適切な人材配置という会社の裁量は比較的広く認める傾向にあります。

STEP3:円満解決の切り札「退職勧奨」

指導や配転を尽くしても、どうしても状況が改善しない…いよいよ、ここからが本題です。
そのときに検討すべきが『退職勧奨』です。

【実践編】弁護士が教える「退職勧奨」成功の4ステップ

退職勧奨とは、会社から従業員に対して「会社を辞めてもらえませんか?」と退職を「お願い」し、双方の話し合いによって合意の上で雇用契約を終了させることです。

一方的な「解雇」とは全く違い、あくまで「合意解約」を目指すアプローチです。これ自体は、全く違法ではありません。

退職勧奨には、

  • 解雇できるほどの強い理由がなくても実施できる
  • 相手のプライドや生活に配慮した条件を提示できる
  • 合意できれば、その後の紛争リスクを大幅に下げられる

といった大きなメリットがあります。では、具体的にどう進めればよいのでしょうか。

準備①:退職理由と伝え方を練る

  • 具体的に、客観的な事実を伝える: 「協調性がない」のような抽象的な言葉ではなく、「いつ、どこで、どのような言動があり、会社としてそれをどう評価しているか」を具体的に伝えられるよう整理します。
  • 「解雇ではない」ことを明確に: 「これは解雇通告ではなく、あくまで会社からのお願いです。応じるかどうかは、あなたの自由です」ということを必ず伝えましょう。
  • 複数の選択肢(オプション)を提示する: 「このまま退職するか、あるいは来月から〇〇支店に異動するか、どちらかを選んでほしい」というように、退職以外の選択肢を提示できると、強制されたという印象が薄れ、本人が「自分で選んだ」という形を取りやすくなります。

準備②:退職の条件を固める

相手が退職に合意した場合の条件を、あらかじめ決めておきます。

  • 退職日: いつにするのか。
  • 有給休暇: 残っている有給をどう消化させるか。
  • 解決金: 通常の退職金に上乗せして、給与の1〜3ヶ月分(場合によってはそれ以上)の金銭を支払う提案をするのが一般的です。
  • 会社都合 vs 自己都合: 会社からの働きかけなので「会社都合」が基本ですが、転職活動への影響を考えて労働者側が「自己都合」を望むケースもあります。ここは交渉のポイントになります。

実行!:伝達と応答待ちの注意点

  • 場所と人: 必ず会議室など、他の従業員に聞かれない個室で行います。経営者や直属の上司が1〜2名で対応するのが良いでしょう。
  • 「録音されている」前提で話す: 感情的になったり、高圧的な態度を取ったりするのは絶対にNGです。後で「強要された」と言われないよう、冷静に、紳士的に話を進めましょう。
  • 必ず「回答期限」を設ける: 「よく考えて、来週の金曜日までにお返事ください」というように、必ず期限を区切ります。「今日中に決めろ」は強要になりますし、「いつでもいいよ」では話が流れてしまいます。

着地!:退職合意書の作成と事務手続き

相手が退職に合意したら、必ず「退職合意書」を作成し、双方が署名・捺印します。

ここには、退職日、解決金の額、支払い方法、秘密保持義務など、合意した内容をすべて明記します。この書面があることで、後から「言った、言わない」のトラブルを防ぐことができます。

まとめ:問題社員対応で最も大切なこと

今回のポイントをまとめます。

安易な解雇は絶対にNG。 会社が負うリスクは計り知れません。
解雇は最終手段。 まずは「指導・教育(と記録)」→「配置転換」→「退職勧奨」のステップを踏むことが鉄則です。退職勧奨は円満解決の切り札。 ただし、正しい手順と細心の注意を払って進める必要があります。

問題社員とのコミュニケーションは、経営者にとって大きなストレスです。一人で抱え込まず、どう進めれば良いか迷ったときは、ぜひ私たちのような専門家を頼ってください。

具体的なシナリオ作りや、交渉の進め方についてアドバイスするなど、「会社のコーチ」のような立ち位置で、円満解決まで伴走します。

TMG法律事務所では、今後もSNSなどを通じて、経営者の皆さんに役立つ情報を発信していきます。ぜひフォローをお願いいたします。また、ウェビナーも定期的に開催しておりますので、次回のご参加もお待ちしております。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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